2005年11月16日

東京散歩。

なんとも良い天気の一日だった。
ゼミが午前中で終わりだったので、
そのまま家に帰ってしまうのが、もったいなく感じた。

そこで、一緒にゼミを終えた友人と、
そのままブラブラと東京散歩。
目的地を決めず、足の向くまま気の向くまま。
気になる建物があれば確かめに、
公園があれば一休み、
歴史遺産があれば、書いてある説明をのんびりと。

街角のところどころに、
昔の江戸の区画地図があり、
地図にはその街に住んでいた人名があり、
歴史の流れの続きを生きているんだなとという事実を、
改めて思い起こさせられる。
今、池波正太郎の『剣客商売』シリーズを読んでいるので、
なおさら面白い。

そうだなあ、今はこんなに都会だけれど、
刀を持った侍や、駕籠に揺られた大名や、
町人や商人や、僕らのような学生(書生?)も、
その昔、この道を同じように歩いていたんだよな。
「下に〜下に〜」とか「べらんめえ」とか、言ったり言われたりして。

歴史的な遺産だけではなく、
さまざまなものが僕の好奇心をくすぐる。
あまりにキョロキョロし、いちいち指差して騒ぐので、
連れの友人はウザイと言った。
まあ、良いのだ。今日は誰にも気を使わないのだ。
そう決めていたから、無視してはしゃいだ。

都会のメインストリートには、
誰もが知っている有名な会社の本社ビルがあったり、
美味しそうな料理屋さんがあったり、
途切れることない刺激がある。
人々が行き交い、活気があり、喧騒に満ちて。

メインストリートから一本でも脇道に入ると、すっと空気が変わる。
錆びた遊具がひっそりと並んだ小さな公園。
古めかしい歯科医院の建物。今も開業しているのだろうか。
向かいの食堂の店頭では、オヤジさんがタバコをふかしている。
自転車ですら入れないだろう細い路地もある。


tokyo walk 2


車での移動ではなく、徒歩だから気づく些細な街の顔。
僕は東京という街に、すぐに疲れてしまうので、
なかなか全面的な好意を抱けない。

でも、たまーに、こうやってゆっくり歩き回ると、
少しずつだけども、東京も悪くないなあと思う。
また歩いて見たいなと思う。
なかなか実行には移せないのだけれど。

今日の東京散歩の終着点は、
期せずして皇居になった。

内堀通りを激しくキョロキョロと歩いていると、
皇居の警備のお巡りさんに「何かお探しですか」と話しかけられた。
友人は怪しまれたと言うが、僕はただの親切だと思う。
「いやいや、目的なくブラブラとしてるんですよ」と告げると、
「今日は皇居に入れる日ですよ」と教えてくれた。
おまけに地図までくれた。

そういうことならと、皇居に向かう。
皇居の中に入るのは初体験だった。

皇居の中には、広い芝生があった。
空気はそれなりに冷たいものの、陽射しがとても暖かかったので、
僕らは芝生に寝転がってバカ話をして過ごした。

昨日は紀宮さんの結婚式ということで、
この辺りも混雑していたのかも知れないが、
今日は人影はまばら。
気持ちの良い青空の下で、
絵を描く人、写真を撮る人、楽しそうに話し込む人。
みなそれぞれの好きなように過ごしている。
皇居の警備に当たる皇宮警察の人も、
写生をしている人の絵を覗き込んで、和やかに話している。
うんうん。平和だ。


tokyo walk


太陽が西に傾き、その陽射しも弱まりつつあり、
そろそろ行かなきゃなあと、後ろ髪を引かれていたとき、
僕らの後ろで同じように横になっていた老夫婦が立ち上がった。
僕の知る限りでは、ほとんど何も話さずにいた二人だったけれど、
お互いの背中についた芝を笑いながら払い合って、ゆっくり歩み去っていた。
その姿があまりに自然で、ほのぼのとしていて、
ああ、これが言葉のいらない関係なのだなと思った。


tokyo walk


ええかげん良い年齢になってきた大学院生。
研究せねば、社会に出ねば、経済的に自立せねばせねばと、
まるで、肉切り包丁を持ったオッサンに追われているような、
なんともいえない焦りの日々を過ごしがち。
そんな中で、
今日のような目的も損得も意味すらも考えない時間の過ごし方は、
えらく心身をほぐしてくれる。

こんな時間が、ときどき必要なんであるよ。
はてさて、次はどの街を歩こうか。
posted by Kei at 23:50| 神奈川 雨| Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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